・・・高原の風 吹くところ ほのかにうつろう物語がありました・・・
気ままな雲
にひかれ、ここ、高原の静かな
ペンションに若いこころが集まっています。
それぞれのこころは、今夜のお楽しみへと、動きはじめました。
アミ
は、お気に入りのワンピースを身にして、
鏡の前に立ってます。何度やっても、胸の飾りが
うまくできないので、あせってます。隣の部屋では、
やっと、化粧に納得いった
クミ
が、時計を見て、
あわててます。
リノ
はといえば、二人の盛り
上がりに圧倒されてしまって、部屋中をうろうろ
するばかり。ゆっくりと飲むはずだったテーブルの
上のミルクティは、とうとう冷めてしまいました。
午後の日差し
は、だいぶやわらいできています。
ミチ
は花屋で、真っ赤な花をみつけました。鮮やかな色に、もう御機嫌です。
酒屋からは
ジュン
が出てきました。
ロゼのワイン(大騒ぎのときはいつも、これなんです)を抱え、足どりまではずんでます。
高原の爽やかな風
が、みんなのたかぶるこころをあ
おるように、あたりをかけ抜けていきました。
ダイニングのドアは、奇麗な花のリングで飾りつけてあり
ます。ドアの向こうには大きなテーブルがあって、
先程から
奥さん
が、キッチンとの間を
パタパタと動き回ってます。
なんだか空気までせわしくなってる感じです。
彼女は料理を作っています。オードブルの盛りつけを終え、
メインデッシュ(今日は
ドイツ風肉料理
)の
最後の仕上げに入ったところです。
味見をして、大きくうなずきました。
オーナー
は居間のソファーで、額の汗を拭いながら煙草に火をつけ、
ひといきついてます。テーブルのセッティングをテキパキと終えたところで、
今夜はみんなをいかに笑わせようかと考えています。
草原の緑と空の青に映えていた
白い建物
は、すでにその影を長くしてました。
カラフルに飾りつけられた壁や天井。実際に置かれた観葉植物。
プレスのきいたテーブルクロスの上に並べられた、たくさんのグラスや皿。
今は静かな
ギターとピアノ
。
そして、オーディオの前に揃えてある編集されたテープと歌詞カード。
部屋の中は御馳走の匂いでいっぱいです。柱時計は、
ゆるやかに、時を刻んでいます。
高原の雲が、
あかね色
にかがやきはじめました。
ペンション中のこころは、じわじわと高揚しています。
「
さあ、あなた、はじめましょう。
」
「
おぅ、わかった。
」
・・・高原の風 吹くところ ほのかにうつろう物語がありました・・・